耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
[2]***


すぐ目の前にはグレーのファブリック。両肩に乗せられた手。
自分がソファーにうつ伏せに押し倒されたのだと、数秒後に気付く。

驚いて振り向こうとすると、肩に置かれていた怜の手に力が込められ動きを封じられた。

「れ、……い~~~っ」

首の後ろに一瞬「カリッ」と歯を立てられて、痛みに顔をしかめる。けれどすぐさまそこをべろりと舐められて、今度は違う意味で悲鳴が上がりそうになった。そのまま首の後ろをきつく吸われる。

「やっ、なんで……れいちゃ、ぁんっ、………」

背中からのしかかられた重みで振り向くことすら出来ない。それだけでなく、美寧の手はソファーに縫い留められていた。

(急になんで———!?)

頭で疑問を叫んでみるが、口に出す余裕は与えてもらえない。

怜と「大人の関係」を持ってまだひと月足らず。
これまで何度か甘い夜を共にしてきたが、怜がこんなふうに性急に事を進めようとしたことはない。大抵「そういう」時は、優しいキスで「お伺い」を立て、美寧の反応を見てから。

それなのに今は———。


縫い留められていた手がスッと解放される。
そのまま怜が上体を起こすのだろうと思いホッと息をつこうとした、その時。
服の裾から怜の手がするりと入り込んで来た。

「ひゃっ、」

脇腹を這い上がってくる手に身を(すく)める。「待って」と言いながら顔だけで振り向いた美寧の唇を、怜が塞いだ。

またしても何の“合図”もなく侵入した舌に咥内を犯され、無理な体勢と合いまった苦しさに目尻に涙が滲む。

「んんん~~っ」

声にならない抗議の声を精いっぱい上げてみるが、解放される気配はない。それどころか、よりくちづけは激しくなり、そしてさらに———。
< 393 / 427 >

この作品をシェア

pagetop