耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
大晦日の夜、一緒に泊まった実家の美寧の部屋。ベッドの端に腰を下ろしている美寧を、寝転んだ怜が見あげてきた。赤みのさした頬に、とろんと甘えるような瞳で。
さすがにあれだけの量のお酒を飲めば、怜が酔うのも仕方ない。

『れいちゃん、大丈夫?お水もらってこようか?』

初めて見る怜の表情に母性本能をくすぐられながら、一階のキッチンから水を貰ってこようと腰を浮かそうとした時、腕を引かれ硬い胸の上に抱き込まれた。耳元で甘えるように『行かないで』と囁かれて顔が赤くなる。

『ひんやりして気持ちいい』と言いながら、喉元に顔をすりつけてくるのがくすぐったくて肩を竦めてると、怜の手がパジャマのボタンを外し始めた。

『あの、れいちゃん……隣はお兄さまの部屋だから今日は……』とボタンにかけられた手を握って暗に制止しようとすると、『少しだけ声を我慢して』と耳もとで(つや)やかに囁かれ、いつもよりも性急な手と唇が美寧を求めてきた。

いつもとは違う場所。いつもとは違う怜。
我慢しなければならないと思えば思うほどに、漏れてしまう濡れた声。それすらもスパイスとなって官能を引き立てた。

体を重ねたのはまだ片手で足りるほど。けれど、すでに美寧の「()いところ」は怜に把握されているようで、大きな嬌声を上げそうになる口を自分の手で必死に抑えて我慢しなければならなかった。

隣の部屋に兄がいると思えば、ここで「最後」まで出来るわけない。
何度目かの絶頂に堪え切れなくなった声は、怜の唇で塞がれた———。



「あぁっ」

思わず甲高い声が飛び出す。
指の動きに焦らされる。その度に奥からとろりと何かがしみ出してくる。

「途中まで」で止められた昨夜の続きを求めるように躰の芯が疼き出す。

もしかして怜はまだ酔っているのだろうか。
朝、目が覚めた時にはもう「いつもの」彼だったのに———。

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