耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
(でも……このままじゃ……ダメ………)

与えられる快楽に流されそうになる。けれど美寧は、このまま抱かれたらだめだと思った。流されてしまえば、きっと怜が(・・)傷付くだろう、と。

きっと彼は何か怒っている。それはきっと美寧のせいなのだろうけれど、頭が痺れたようになって、一体何が悪かったのか思い出せない。

ソファーについたこぶしを握り締めると同時に、唸るような声が言った。

「いったい誰とするつもりだ———」

「えっ、ぅあっ、」

耳を齧られる。

「あなたを他の男には触れさせない」

「あっ、——あぁっ」

何か大事なことに思い当たりそうになったのに、怜の指が動くたびに思考が途切れる。
自分の口から漏れる熱い吐息とは逆に、温度を無くした冷たい声が聞こえた。

「約束の変更はしない。他の男とのキスも許さない」

(あっ———!)

美寧はやっと気が付いた。怜が怒っている理由に。

「ちがっ———」

「このまま抱き潰して、俺なしでいられないようにしようか———」

耳の入り口に注ぎ込まれた言葉に、美寧が大きく瞳を見開く。
手に触れたものをとっさに掴んで、勢いよく怜の顔に押しつけ、そして思いっきり叫んだ。

「れいちゃんのばかぁっ!」

怜の動きがピタリと止まった。
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