耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「いい友達だね」

「うん。ナギはけっこう面倒見がいいの。マイペースなのに意外と世話焼きなところがあるのよ」

「ああ、それは分かるかも。でも、いい友達なのは涼ちゃんもでしょ?だからずっと彼のことを気にかけてる」

「そうかしら……自分でもちょっとお節介を焼き過ぎてるかも、って反省してるのよ」

そう言った涼香に、航が「ま、それが涼ちゃんのいいところかもね」と言う。

「私も友人としてこれからもフジ君との付き合いをやめるつもりはないのだけど、でも……それでいいのかな、って……」

「どういうこと?」

「私は航と結婚して健も生まれて、本当に幸せ。……色々大変なこともあるけど、二人がいるから頑張れるの」

「うん。俺も同じ」

「愛する人と一緒に生きる幸せを、最初から諦めてしまうなんて、友人としてなんだか納得できなくて……」

「そうだね。藤波さんはカッコイイだけじゃなくて、優しくて良い人だからね」

「そうなの。……だからね?美寧ちゃんを見るフジ君の目を初めて見た時、私、『もしかしたら』って思ったの―――『もしかしたらこの子がフジ君を変えてくれるかも』って」

「そうだったんだ」

「うん。美寧ちゃんの方にも色々と事情があるみたいだし……私で出来ることがあれば良いのだけど……」

「美寧さんの事情?涼ちゃんは美寧さんから何か聞いたの?」

「ううん、特には何も………でも……」

「でも?」

航の問いかけに答えず、涼香は口を閉じたまま初めて美寧と顔を合わせた時のことを思い出した。



『問診票を作りたいから、書けるところだけ書いて貰って良いかしら?』

そう言って涼香は自分が医院長を勤める小児科の問診票を美寧に渡した。
小児科ではあるけれど、稀に大人の内科も請け負っている。親子で一緒に予防接種をしてほしいという依頼を受けることもあるからだ。

熱を出して寝込んでいたせいなのか、患者の瞳に生気がない。高熱は微熱まで治まったけれど、赤みが引いた顔は血色の悪さがはっきりと見て取れた。

Malnutrition———“栄養失調”とタブレットに打ち込み、涼香は美寧が書き上げた問診票を受け取った。
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