耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「エメラルド———ミネの誕生石ですね」

「う、うん……でもなんで……」

美寧だって自分の生まれた月の誕生石くらいは知っている。けれど、どうして怜が美寧の誕生日が五月だと知っているのだろう。怜と出会ったのは六月で、美寧の二十一歳の誕生日は過ぎた後だった。一緒に暮らし始めてから誕生日の話をしただろうか———

「なんで俺があなたの誕生月を知ってるかって?」

「うん……」

頷いた美寧に、怜は音を立てずに息を吐き出すと言った。

「このネックレスを毎日着けてくれるなら、教えてもいいですよ」

「えっ!」

出された交換条件に、思わず声を上げた。

「な、なんで」

ついさっき洋服を買ってもらったばかりだ。これ以上怜にばかり出費させるなんて———
そう説明しようと思った矢先、怜が言った。

「俺があなたに貰って欲しいんです———嫌ですか?」

少し眉を下げて困ったような顔の怜。困った時に怜がよくするその顔に、美寧はちょっと弱い。その顔でそんなことを言われたら、美寧は強くは出られない。

「いや……じゃない、けど……でも、」

「俺があげたものをあなたに身に着けていて欲しい。全部俺の我がままです。———ミネさえ良ければ、聞いてもらえますか?」

そこまで言われたら、頷くしかなかった。


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