耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「ミネ、お米を研いでもらえますか?」

「うん、分かったよ。何合研いだらいい?」

「二合でお願いします」

「はーい」

美寧はシンクの下の開きを開け、米びつの中からボウルにお米を二合入れた。そしてシンクの中で研ぐ。
お米を研ぐことは、美寧が電子レンジの次に覚えた《《料理》》。火を使った料理はまだ出来ないことが多いけれど、これなら美寧にも失敗することなく出来る。怜が仕事から帰って来るのを待っている間、お米の準備をしておくのは美寧の仕事になっていた。

シンクの前に立つ美寧の隣で、怜が冷蔵庫から出したものをまな板の上に置いている。

「あっ、それ、もしかして……」

「はい。昨日の秋刀魚、少し多めに買っておいたのです」

美寧に出したと思われる半身のものとは別に、もう一尾ある。

「すごいね……」

怜が器用に秋刀魚をさばいていくのに、美寧は目を丸くする。
秋刀魚はあっという間にきれいな三枚おろしになった。

美寧が研ぎ終わったお米をザルに上げた頃と、怜はさばいた秋刀魚をグリルに入れ焼き始めた。そしてその間に今度は小田巻蒸しに取り掛かった。

「ミネ、今度は卵を割って溶いて貰えますか?」

「うん!」

美寧はあらかじめ丸テーブルの上に出してある材料の中から、卵を取りボウルに割入れる。そしてそれを箸でかき混ぜた。怜がその上にいつもまとめて作っている出汁を入れ、塩やみりんなどの調味料で味付けをしていく。

「そのくらいで大丈夫です」

深めの鉢に盛り付けた、うどん、鶏肉、かまぼこ、椎茸、三つ葉、そして銀杏。
その上から()し器で漉した出し汁を、盛り付けを崩さないようそっと流し込んで行く。そして器の上をアルミホイルで多い、水を張った鍋に入れ蒸し始めた。

「楽しみだなぁ……小田巻蒸し」

目を輝かせて鍋を見つめる美寧に、怜は目元を緩める。
こんなふうに出来上がるのを楽しみにしてくれるなら、いくらでも作ってあげたいと思えてくる。

「れいちゃん、まだお米は炊飯器に入れなくていいの?」

「お米は、今日はこっちです」

怜はコンロの下から土鍋を取り出すと、そこにお米を移し、水や調味料を入れて行く。そしておもむろにグリルの中から表面がこんがりとした秋刀魚を取り出した。

「まだちゃんと焼けてないみたいだけどいいの?」

「はい。あとはこっちで炊くので大丈夫です」

そう言ってその秋刀魚を土鍋の一番上に置いて、蓋を閉じると火を点けた。

“小田巻蒸し”と“秋刀魚ご飯”が出来上がるまでの間に、二人で使った調理器具を片付ける。美寧にとって、この数か月ですっかり馴染んだ怜の料理の工程の一部だった。
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