偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「悪い人じゃないから、大丈夫だよ……」

疲れているのか、少しずつ眠気が襲ってくる。
まだ、お風呂に入っていない。
眠っちゃダメ、とは思うものの、瞼は重くなっていく。

「李亜?」

そのうち、お風呂から上がったのか、御津川氏の声が聞こえてきた。
返事をしなくちゃ、とは思うものの、もう声は出ない。

「寝たのか?
今日はきっと、疲れただろうしな」

彼が、器用に私の下から掛け布団を抜き、あたまの下に枕をセットしてそれを掛けてくれる。

「おやすみ、李亜。
俺の大事な、大事な李亜。
愛してる」

ちゅっ、と彼から落とされた口付けを最後に、心地いい眠りへと落ちていった。
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