偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「七百万返せて対等になれたら、素直になれるのかな……」

……お祈りメールばかりの現実では、厳しいけど。



「……で。
現実は甘かないわけですよ」

ヒルズのいつものカフェで遅い昼食を取っている私は、スーツ姿だった。

「お子さんのご予定は、ってさ……」

お気に入りのサーモンサンドを頬張る。
前は鈴木との思い出に複雑な思いだったカフェだが、いまではいい息抜き場所になっていた。

やっと面接にこぎ着けた会社でひたすら聞かれたのは、子供のことだ。

――新婚だそうですが、お子さんの予定は?

――子供ができたら産休を取りますよね?

訊かれたのは私の能力ではなく、主にそんなことばかり。

子供の予定?
そんなの、当面ないんじゃない?
私はそのつもりだから職探ししているんだし。
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