偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
なんて御津川氏は笑っていたが、また彼になにかしたらと思うと気が気じゃない。
株価の方は一週間程度で元に戻ったからよかったけど。

「慧護!」

私たちを見つけ、すぐに純さんが寄ってきた。

「ねえ、紹介したい人がいるんだけど……」

するりと彼女の腕が御津川氏の腕に絡み、さりげなく私から引き剥がす。

「李亜」

「どうぞ、行ってきてください」

振り返った彼に、笑顔を貼り付けて返事をした。

「すぐに戻る」

「早く、慧護」

御津川氏を急かし、純さんがこちらを向く。
視線のあった彼女は、にたりと目を歪ませた。

……毎回、そうなのだ。

純さんはなにかと理由をつけて、私たちを引き離す。
御津川氏も他の女性なら邪険に振り払うのに、彼女だけはしない。
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