偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
彼の中では完全に、純さんは友人に振り分けられているのが理由みたいだが、純さん自身の気持ちには気づいていない。

もう、女性に彼が絡まれるのは仕方ないと割り切れるようになっていた。
だって、御津川氏はそれだけ格好いいんだから仕方ない。

でも、純さんは別。

御津川氏としても純さんは〝友人〟という枠ではあっても、他の女性に比べたら、特別なのだ。
それが、嫌だった。

「……はぁーっ」

ため息をつきつつ、人気のない壁際へ行こうとしたものの。

「おっと」

「す、すみません!」

一歩踏み出したところで、男性とぶつかった。

「いえ、大丈夫……咲乃?」

ここで旧姓呼び、しかもよく知った声が降ってきて、顔を上げる。

夏原(なつはら)、社長……?」
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