偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「李亜」

けれどその言葉は、こちらへやってきた御津川氏によって止められた。

「これは御津川さん、おひさしぶりです」

御津川氏に気づき、夏原社長は軽く会釈をした。

「本当におひさしぶりですね。
社長就任以来ですか」

にこやかに御津川氏は挨拶しているが、それが作り笑顔にしか見えないのはなんでだろう?

「知らないうちに僕の元部下の咲乃と結婚したんだとか。
困りますよ、彼女ほどの女性を専業主婦にしておくなんて」

「俺は李亜が一番輝ける環境を準備できる自信があるので、お気になさらずに」

長身イケメン同士が腹の探り合いをしているのはこう……迫力がありすぎて、怖いです!

「李亜、行くぞ。
日角(ひすみ)ご夫妻にはまだ、紹介していなかっただろ? ……じゃあ、失礼します」

夏原社長にあたまを下げ、彼は軽く手を引っ張った。
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