偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「よろしく頼む」

「かしこまりましたー」

戸惑っている私を無視し、彼と花井さんだけで会話は完了した。
強引に鏡台へ連れていかれ、花井さんがいつものようにヘアメイクと化粧を施していく。

「あのー、これって?」

御津川氏は部屋にいず、花井さんに訊いてみる。

「私はなにも知りません。
ただ、奥様をできる女に仕上げてくれ、というご依頼で。
もっとも、李亜様は元がそういう感じですが」

テキパキと会社勤めの頃の私に逆戻り……ではなく。
あえて残した甘さが女らしさを演出し、キャリアウーマンというよりも美人社長ができあがっていた。
いよいよ、否定したかった考えが確信を帯びてくる。

「これに着替えろ」

帰った花井さんと入れ違いで入ってきた御津川氏が、ベッドの上に服を放り投げた。

「……」
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