偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
教会の、バージンロードの先で待っているのは名前も知らない男。

「汝、鈴木二郎は、咲乃李亜(りあ)を妻とすることを誓いますか」

彼は今日、鈴木二郎役をやってくれるのだという。
それはありがたいが、本当にいいんだろうか。

「誓います」

男が、神様に平気で嘘をつく。
私なんてさっきから、良心が痛んで心臓がばくばくいっているのに。

「汝、咲乃李亜は、鈴木二郎を夫とすることを誓いますか」

誓いますかって、こんなことをして罰が当たらないんだろうか。
いや、そもそも、キリスト教でもない私がキリストに誓う時点でおかしいんだけど。

「誓いますか?」

私がぼーっと黙っているものだから、注意を促すように少し強めに司祭が再度問いかけた。

「……」
< 19 / 182 >

この作品をシェア

pagetop