偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
隣の男が、無言のまま肘で私をつつく。
さすがにマズいと思い、引きつった笑顔で口を開いた。

「誓います」

うっ、嘘をついてすみません、キリスト様。
代わりにもう一生、クリスマスに浮かれてケーキを食べたりしないので、許してください。

「指環の交換を」

「……?」

リングピローにのせられて私の前に出てきたそれは、鈴木と選んだものとは違っていた。
あれはただのシンプルなリングだったのに、これはウェーブにあわせて私の方のにはダイヤが埋め込んである。

「……手」

小さく男から言われ、慌てて左手を出す。
戸惑いながらもその指環を嵌めてもらい、男の指にも嵌め返した。

「デハ、チカイノキスヲ」

なぜか、司祭の言葉がいまいち理解できない。
男がベールを上げるのをぽけっと見てきた。
彼の手が私の肩に置かれ、ゆっくりと傾きながら顔が近づいてくる。
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