偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「そりゃ、よかったね」

くすくすとおかしそうに笑いながら、男はグラスの水割りをぐいっと飲み干した。

「あの……この方、は」

たぶん、御津川氏の親しい人なんだろうとは推測できるが。

「友達の弁護士だ。
――憲司(けんじ)

砺波(となみ)憲司です」

別に疑っているわけでもないのに砺波さんはわざわざ、弁護士の身分証を見せてくれた。

「それであっちの方は?」

「もう万端」

御津川氏がソファーに座り、その隣をぽんぽんと叩くので、仕方なくその隣に腰掛ける。

「結婚式って意外と疲れるのな」

御津川氏はヘラヘラと笑いながら、置いてあったセットで水割りを作った。
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