偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「ん」

鼻腔をいい香りがくすぐり、顔を上げる。

「ありがとうございます」

御津川氏が差し出す、カップを受け取った。
口をつけようとしたところで、どさっと隣に衝撃を感じる。
ゆっくりと視線を向けてみると、御津川氏がそこに座ってコーヒーを飲んでいた。

「ん?」

私の視線に気づいたのか、僅かに彼が首を傾ける。

「……いえ」

……近い、近すぎる!

……なんてことを言えるはずもなく。

「あ、そうだ。
李亜にやってもらいたいことがあるんだ」

ソファーを立った彼は、小さな紙袋を片手に戻ってきた。

「ピアスをあけてくれ」

私の手を取り、彼がピアッサーをその上にのせる。
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