偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「じゃあ片付けして、少し頑張りますかねー」

御津川氏と暮らしはじめてまだ三日目。
生活はまだ、手探り状態だ。

片付けを終わらせ、パソコンの前に座る。
片付けといっても食洗機任せで、ほぼすることはない。
ページを渡り歩き、ポチポチと求人情報を探る。
昨日はできなかったので、その分いいのがないかと期待しながら。

昨日は、ハウスキーパーさんがやってきたのだ。
いや、私の母と同じ年くらいの、橋本さんはとても感じがよい女性だったのだけど。
彼女に家事を任せっきりで私は好き勝手……という状況に耐えられず、外に逃げだした。
だって、つい口走ってしまったのだ。

『なにか、お手伝いすることはありませんか』

って。
あのときの彼女の、顔はいまだに忘れられない。
優しい笑みをたたえたまま、固まっていた。
その瞬間、しまった、と悟って、速攻で外に出た。

「明日は橋本さんが来るんだよね……」

口から、はぁーっとため息が落ちていく。
彼女が、苦手というわけではない。
仕事は完璧だし、昨日だって私のことは全く詮索しなかった。
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