オフィスラブはじまってました
「なにかこう、ぱあっと生活が華やいだりするようないい話よ」

「な、ないですね~」
と言う藤田は諦め、瑠美子は今度は、後部座席のひなとを振り向き、言ってきた。

「なんか愉快な話はないの、ひなと」

 ……なんで私のときは、愉快な話なんですかね?
と思いながらも、ひなとは言う。

「えーと……。
 愉快な話って言うんじゃないんですけど。

 うちのお母さん、しゃべるのが速すぎて。
 『わたしは』って言うのが、いつも、『あっしは』に聞こえるんですけど……」

「却下」

 いや、却下ってなんなんですか~っ、
とひなとも藤田と同じような苦笑いを浮かべたとき、ちょうど車は山の上のレストランに着いていた。




< 129 / 576 >

この作品をシェア

pagetop