オフィスラブはじまってました
「緒方さんは……

 ああ、此処だ。
 じゃあ、また」
とマイペースな入野は降りていってしまった。

 入野は、すれ違う通行人―― 主に女性をぎょっと振り返らせながら行ってしまった。

「入野さんって、サラリーマンだったんですか?」

「違うだろう。
 今朝、初めて一緒になったぞ」
と柚月も発車したバスから、何処へ向かうのかわからない入野を見送りながら言う。

「なんかサラリーマンらしさがないですもんね。
 よく言えば、何者にも飼い慣らされてない」

「悪く言えば?」
と問われ、ひなとは黙る。

 ちょっと集団に適合できなさそうな人ですよね、と思ったのだが、口に出すのはどうだろう、と思って、苦笑で誤魔化した。

 まあ、自分も学校でよく怒られてたクチなので、似たようなものなのだが。
< 153 / 576 >

この作品をシェア

pagetop