オフィスラブはじまってました
「あんたの実家って近いの?」

「いや、遠いんですけどね。
 この間、アパート焼け出されちゃって。

 ちょっとずつ実家に置いてたものでいるものとか運んだりしてるんで、また帰ると思いますよ」

「そうなの?
 大変ね」

「いや~、この前の週末もご近所さんに、駅まで乗せてってもらっちゃって」

「前のご近所さん?」

「いや、新しいアパートの方です。
 みなさん、ご親切で」

「ふうん。
 よかったわね」

「はい。
 住むといいことがあるアパートらしいんですよ。

 ああ、あの方です。
 お隣りの方」
と廊下を歩いてきた柚月を見て、笑顔で紹介する。

 柚月は足を止め、ひなとは沈黙した。

 一拍置いて、ひなとと彼女は同時に叫ぶ。
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