オフィスラブはじまってました
「でも、緒方さん、記憶力いいんですね。
 私は人の顔とか名前、なかなか覚えられなくて」

 おい、人事……。

 こいつ、二、三週間離れてたら、俺のことも綺麗さっぱり忘れそうだな、と思ったとき、緒方が言った。

「いや、覚えてたのは、結構、好みだったから」

 ひなとは、ええっ? という顔をしていたが、緒方は、そこで、あっさりと話を変える。

「一度会うと、バッタリ会うようになるって、さっき言ってたが。
 入野には数日会わないと思うぞ」

 その話題はもういいんですか、緒方さん。

 特に深い意味はなかったんですか、緒方さん、
と柚月は入野の話をしている緒方を見つめる。

 深い意味もなく、サラッとそういうことが言えるのがうらやましいような。

 そういえば、このアパートの住人。

 今まで、変わった人が多い、という認識しかなかったが。

 世間で言うところのイケメン顔の人たちが多いような……。

 ひなとがやってくるまで、そんなこと気づきもしなかったのだが。
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