オフィスラブはじまってました
「檜村柚月さん……、何処かで聞いたお名前ね」
という景子の呟きを聞いた柚月は、

「……前言撤回。
 やっぱり、お前とお母さんは似てないな」
と言い出した。

 名前も顔も覚えられない私とは違うと言いたいようだ……と思いながらも、ひなとは改めて柚月を紹介する。

「お母さん、柚月さんは、檜村さんのお孫さんなの。
 ほら、おばあちゃんの生徒さんの」

「あらやだ、柚月ちゃんっ?
 大きくなってっ。

 なんで、ひなとと居るの?
 って、なんでってこともないわよね~。

 やあねえ、もう、上がってちょうだい。
 久しぶりねえ。

 檜村さん、この間、神社のお茶会でお会いしたばかりよ。
 柚月ちゃんたち、最近、来ないからー」
と言って、景子は、ぽんぽん、と柚月の腕を叩いた。

 景子は文重(ふみえ)の教室の行事のときには手伝いに行っているのだ。
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