オフィスラブはじまってました
 ちなみに、お隣りは表札も出ていない。

 すると、それに気づいたようにお隣りさんが教えてくれた。

「名乗ってなかったな。
 俺は檜村柚月(ひむら ゆづき)だ」

「ヒムラさんですか。
 よろしくお願い致します」
と頭を下げたひなとの頭の中で、彼の名前は、

 ヒムラ ユヅキ
とカタカナになっていたので。

 職場のカルテや名簿でよく見る『檜村柚月』と頭の中で結びつくことはなかった。

「あ、そうだ。
 ヒムラさんはアルミホイルとラップはお好きですか?」

 ひなとは、うっかりそう訊いてしまい、柚月に不思議な顔をされる。

「……いや、特にお好きではないが」
< 31 / 576 >

この作品をシェア

pagetop