オフィスラブはじまってました
「そっ、そうですよねっ、すみませんっ」

 ちょっとクールな感じのイケメン様に阿呆なことを訊いてしまった……。

 いや、最初の想定が蕎麦だったので。

 蕎麦って、好き嫌いもアレルギーもあるし。
 好きかどうか訊いてから配った方がいいよね、と頭の片隅で思っていた。

 それで、配る物がアルミホイルとラップに変わっても、つい、そのまま訊いてしまったのだ。

「いやあ、ご近所さんに配ろうかと」

「それは助かるラインナップだが。
 他の部屋はともかく、うちには別に気を使わなくていいぞ」
と言う柚月に、

 いえいえ、まあまあ、といかにも日本人的な適当な返事をしたあとで、

「それでは、またあとで」
とお辞儀をし、ひなとは歩き出す。

 ところが、柚月も何処かへ行くらしく、ひなとの後ろを歩いてついてきた。

 アパートの外廊下から明るい表の道に出たとき、ひなとは振り返り、訊いてみる。
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