オフィスラブはじまってました



「なんか緒方さんのいつもとは違う一面を見た気がしたんですよね~」

 次の日、柚月はバスの中で、ひなとがそんなことを言うのを聞いた。

 なんだ、その報告は。
 それで緒方さんに惚れたのか。

 それとも、俺にも違う一面を見せろとでもいうのか、このミノムシめっ、
と柚月はつい、いろいろと勘繰ってしまう。

 ひなとは、単に、いつもと違うなあ、とぼんやり思って、そのまま口に出しただけで、他意はなかったのだが、柚月は、そうは受け取らなかった。

「緒方さんって誰?」
とひなとと並んで立っている惟子がひなとに訊いている。

「うちのアパートの人です」

「イケメン?」

「はい、かなり。
 雅士の従兄弟らしいですよ」

「行くわ。
 近いうちに、あんたのアパート。

 なに食べたい?
 なんでも持ってってあげるわよ」
とひなとは惟子に買収されていた。
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