オフィスラブはじまってました
「そういえば、さっき、おじさんが暗がりから現れたとき、私、すごく驚いたんですけど。

 緒方さん、全然動じてませんでしたね」

 ぎゃーとも、わーとも騒がなかったな、と思って言ったが、緒方は、

「いや、驚いたさ。
 でもまあ、せっかく二人きりだから、いいとこ見せようかと思って、ぐっとこらえたんだ」
と言う。

「え?
 いいとこ見せるって、誰にですか?」

「お前にだろ。
 他にいないだろ」
と素っ気なく言ったあと、緒方は自転車を担いだまま、じゃあな、とさっさと行ってしまった。



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