オフィスラブはじまってました



「さ、手を洗ったか?」

「はい」

「まず、ネギを切れ」

「はいっ」

 いよいよ炒飯を作ることになり、柚月に命じられたひなとは、できるだけ細かくネギを切ろうとする。

 すると、別の作業をしようとしていた柚月が、
「軍手を持ってこようか」
と言ってきた。

 は? と顔を上げると、
「小学校のキャンプのとき、手を怪我しないよう、確か軍手をやっていた」

 軍手は何処かな、と柚月は探しはじめる。

「だっ、大丈夫ですっ。
 大丈夫ですっ」
とひなとは包丁を手にしたまま、慌てて叫んだ。

 ハムスターの次は小学生扱いっ。

 人間になっただけマシかだろうか……、
と自分に言い聞かせながら、無言でネギを切っている間、柚月は別の包丁とまな板でチャーシューを刻み、卵を割り、海老を出し、着々と炒飯を作っていた。
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