オフィスラブはじまってました
 いやいやいや。
 そういう問題ではない、とひなとも柚月も思っていたが、柚月の母は、

「ロールスロイス、荷物たくさん載るわよ」
と言ってくる。

 いやあの、住宅街の狭い道、回りづらいと思うんですが……。

「満山《みつやま》さんに運転してもらいなさいよ」

 満山さんというのは、運転手さんのようだった。

「そうだ。
 わざわざ買いに行かなくても、離れの冷蔵庫、買ったまま使ってないわよ。

 あげましょうか」

 いえいえ、いえいえ、と言いながら、柚月とふたり、じりじり下がっていって、居間を出た。

 廊下から、ひなとがぺこりと頭を下げたあと、柚月が扉を閉める。

 こちらを見、
「な、あんな感じでうるさいから出たいんだ」
と言ってきた。

 はあ、と言いながら、柚月について庭に出る。
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