オフィスラブはじまってました
「遅いっ、新入社員っ」
月曜の朝。
人事部に入るなり、怒鳴られたひなとは、ひっ、と身をすくめた。
仕事の引き継ぎをしてくれた先輩、 荘田瑠美子が仁王立ちになって、ひなとのデスクの前に立っていたのだ。
「す、すみませんっ」
とひなとは謝りながら、壁の丸時計を振り返る。
いや~、まだ始業20分前ですよね?
と思いながら。
その視線を読んだように、瑠美子が言う。
「30分前には来ときなさいよ、新人っ。
見てごらんなさい、部長はもういらしてるじゃないのっ」
瑠美子は顔立ちがきつめの美人なので、迫力があって、恐ろしく。
部長の方がむしろ、早く来てごめんね……という顔でこちらを見ていた。