はつ恋。
「日奈子、あれって...」

「ん?」


有馬くんが指差した先にいたのは...


「知里さん...」


知里さんがいた......

ヤンキー2人と一緒に......。

有馬くんが私に真剣な眼差しを向ける。


「日奈子、この近くに交番ってある?」

「駅前にある」

「んじゃあ...そこまでダッシュで。お巡りさん呼んできて」

「でも、有馬くん1人じゃ...」


有馬くんが私の頬にその美しい手を伸ばした。


「可愛いカノジョおいて死ねないよ」

「有馬くん...」


私は有馬くんの左手に自分の手を乗せた。


「信じる」

「うん。じゃ、日奈子もよろしく」


私は頷くと、踵を返し、全速力で交番へ向かって駆けた。

大丈夫。

絶対大丈夫。

有馬くんが

千里さんを

助けてくれる。

ヤンキーだってやっつけてくれる。

信じる。

信じる...。

信じる......!

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