はつ恋。
「おい」


私はその声に足を止めた。

ま、まま、まさか......?

恐る恐る振り返る。

すると、そこにいたのは...


「誰だ、そいつ」

「お、お兄ちゃん。あ、あのあのね、この人は...」


焦って流暢な日本語が話せなくなっているところで、知里さんが


「ちょっと~朝日。何今さら登場してんのよ!」


と絶妙なタイミングで斬り込み、お兄ちゃんの背中をバシンと叩いた。


「あのね、この子はワタシの命の恩人。ワタシ、さっきヤンキーに絡まれてあと1歩のところで...ね。怖かったんだから。ま、でも助けてもらったからこの通り全然大丈夫だったんだけど」

「ちょ、ちょっと待て。一体何があったんだ?」

「それもこれも夕飯食べながら話そう。今日はカレーだよ~。皆で食べよっ!」


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