悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 繊細な白いレースが、袖口に幾重にもあしらわれている。腰は折れそうなほどに細く、きゅっと締め上げ、スカートにはドレスと同じ色に染められたレースが多数縫い付けられていた。

「陛下から賜ったルビーをだして」

 皇帝から感謝の印として贈られたルビー。何かあるとレオンティーナはそのルビーを身に着ける。そのルビーを身に着けると、背筋が伸びるような気がするのだ。

(髪は大丈夫……ああ、でも少し顔色が悪いかも)

 鏡をのぞきこんで、ついそうこぼしそうになった。
 今回の人生で、ファブリスと顔を合わせるのは初めてだ。それを思うと、やはり緊張が込み上げてくるのを抑えきれない。

「……お似合いですよ、レオンティーナ様」

 ソニアが、そっと背中を押してくれる。

(本当に、ソニアにはかなわないわね)

 ソニアは、レオンティーナのことをよく見ている。ひょっとしたら、レオンティーナ以上に。
 彼女の言葉に勇気を分け与えられ、もう一度、鏡の中の自分と対面する。
 鏡の中からこちらを見返してきたのは、見慣れた顔だった。口角をえいと上げ、笑みを形作ってみる。

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