可愛くないから、キミがいい【完】
「何、じっと見て」
「なんでもないよ、えへへ、かっこいいなって」
「ピアス?」
「もう。違うよ?」
「違うのかよ」
いやいや、分かるでしょ。
この人、まったく一筋縄ではいかなさそうだ。
だけど、簡単に引き下がることなんてしない。
せっかく、どタイプのルックスに巡り会えたんだもん。
すぐには騙されてくれないし、つれない態度だけど、だからこそ、その少し感じの悪い態度を崩したくなるし、甘いところがみたくなる。
つまり、美少女の血が騒ぐってことだ。
「そろそろ中入ろうー」
やんちゃ君の呼びかけに頷いて、
私たちはカラオケの建物の中に入る。
案の定、なほちんはしゅう君の隣から身を引いて、あおい君の傍にいってくれた。
それをいいことに、
私はしゅう君にしっかりとくっつく。
「カラオケ久しぶりだから、ドキドキする。しゅう君、楽しもうね?」
「あー、うん」
上目遣いをして見上げたけれど、しゅう君は私の方を見ずに、呑気に欠伸をしていた。
心の中で盛大にむっとしていたところで、
ちら、と横目で見下ろされる。
さて、この人をどうやって落とそうか。
そんなことばかりを考えていたから、この時、しゅう君の顔がかなり冷めていたことには、まったく気付けなかった。