可愛くないから、キミがいい【完】



「和泉君、買ったことある?」

「ねーよ」

「数々の元カノさんたちとおそろいとかしてこなかったわけ? 別に、みゆは、興味ないけど」

「ふは、数々の元カノさん」

「なに?」

「言葉のチョイスが面白いから、笑っただけ」

「別にウケとか一つもねらってないんですけど」

「広野がどう思ってるか知らねーけど、俺そんなに元カノいっぱいいないから。あと、テーマパークのものはおそろいにしよって言われたことねえな」

「ふうん」



ほかはあるんだ。

別に、どうでもいいけど。


おそろいのものを持ちたがる女の子って、たぶん自信がないんだと思う。そういう顕示欲は、ダサいから私はあんまり好きじゃない。


だけど、今日は、顕示欲とかそういうものを満たすためではなく、ただ、己の意地悪心に従って、リスのカチューシャを一つではなく、二つフックから外した。



自分のことを思いやりに溢れているとか人の痛みが分かるとかそんな風に思ったことは今までに一度もないけど、少なくとも人を困らせようとか人に意地悪をしようとか思いながらいつも生きているわけじゃない。


「SNSに載せる写真撮りたいから、これ、今日つけてよ」


だから、これも完全なるイレギュラーだ。


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