可愛くないから、キミがいい【完】
綺麗な指先がポテトをつかんで、口に放り込んでいく。
今は、ミーナがどこかのバンドの曲を歌っている。和泉君は知っている曲なのか、小さく口ずさんでいた。
数あわせなんて言っといて、純粋にカラオケを楽しんでいる感じだ。それよりも、私の隣にいることに、ドキドキしてほしい。
「ポテト、食わねーの?」
「え、と、食べるよ?」
「食わねーと、なくなるけど」
和泉君の口角が少しだけあがった。
全部食うぞ、って、そういう悪戯な顔。
物足りない。ほしいのはそういう顔じゃない。
そんな、誰のでもみせるような態度なんていらないのだ。
ポテトを手に取って、もぐもぐと頬張る。
正直、ポテトはあまり好きじゃない。油っぽいし、手が汚れるし。
だけど、反応がいい子の方が可愛いって知ってるから、大袈裟に「美味しい~!」ってしゅう君に向かって言ったら、突然、ふはって和泉君は吹き出した。
「お前、なんなの」
なんなのって何?ていうか、“お前”って何?
自分は和泉って呼ばせることを強要してきたくせに、私のことはお前って呼ぶなんて信じられない。
「美味しいんだもん、食べる?」
ポテトをつまんで、和泉君のほうへ持って行ったら、あっさりと首を横に振られる。