可愛くないから、キミがいい【完】
和泉君は、呑気に携帯を触りはじめる。
私が隣にいるのにいいご身分だこと。
ちら、と見えた画面には、動画がみれるアプリが表示されている。まさか、これから、見るつもりなのだろうか。
「しゅ、和泉君、みゆ、お話したいな」
「ちょっと、待って。コウタが歌ってる曲、何かの映画の主題歌だった気するから検索してる」
「えっとね、たしか『その瞳のポラリス』だよ?」
「あー、それだ。ありがと」
「うんっ」
「で、何。話?」
跳ねた毛先に指先で触れながら、首をかしげる仕草一つですらかっこいい。
やっぱり、ビジュアルがいいって最高だ。
上目遣いで、うーん、と悩むふりをする。
「和泉君は、何のお話したい?」
「いや、分かんね」
分からないなら、考えてよ。そういう本音はしっかり隠して、えー、と残念そうに可愛く拗ねる。
しゅう君は、ちら、と私のことを横目で見て、わずかに目を細めた。
そうしているうちに頼んでいたドリンクとポテトが来る。合わさっていた目線はあっさりとはずれてしまう。
本当につれない。こういう男の子の攻略の仕方は、あんまり分からない。
だけど、私にかかればなんのそのだ。