キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。
夏の甲子園を逃した旭日高校はリベンジに燃えているのだ。


宿題の提出が遅れると、しばらく居残り学習になる。

そうすると大切な時期に部活に行けなくなるだろう。


「頑張ります」
「目が完全に死んでる」


彼は口の端を上げて笑った。


「お前さ、ひとりでなにもかもやりすぎなんじゃないの? 先輩マネは大して仕事をやってるようには見えないし」

「そう、だけど……」


その通りだけど、後輩が率先して仕事をやるはあたり前だし、先輩に注意できるほど私は強くはない。


「まあいいや。それより、なんの宿題が残ってる?」
「化学が全然終わってない。苦手なの」
「知ってる」


速攻で断言されてむくれる。
ひどい点数の化学のテストをのぞかれたことがあるからだ。


「手伝ってやるから、わかんなかったら連絡しろ」

「本当に? 中江くんって神様だったの?」

「おぉ、神様。だから言うこと聞けよ」
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