身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
暗澹たる思いのままマンションに帰ると、突然菖悟さんに大きな花束を手渡された。

抱えきれないほどのピンクの薔薇に、私は戸惑う。

「これ、どうしたんですか?」

「紗衣と暮らし始めて一ヶ月だからな」

花束越しに告げられて、はっとした。菖悟さんとの生活ももう一ヶ月が経っていたのだ。

「ありがとうございます……」

男性から花束をもらうのは初めてで少し面映ゆかった。

けれどロマンチストな一面を垣間見るたび、私は彼に惹かれる。心が彼でいっぱいになる。

今はそれが切なかった。

「明日はひさしぶりに休みが重なるな」

うれしそうに告げられ、私は彼を見上げる。

「明日、菖悟さんもお休みですか?」

マリヨンは休館日で、私は休みの予定だった。

「ああ。デートしよう。どこか行きたいところはあるか?」

誘われ、つい口ごもってしまう。

「……」

「紗衣?」
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