身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
「……私だけ幸せになるのは違うから」

「今もまだそう思っているのか?」

静かに訊かれ、私は首を横に振った。

私が我慢すればいいのなら、いくらでもするーーずっとそんなふうに生きてきたのに、菖悟さんへの気持ちは抑えられなかった。別れを告げたあとも、好きで好きでつらかった。私は今回のことで、自覚している以上に彼が好きなのだと身に染みた。

「菖悟さんが私を選んでくれるなら……私は菖悟さんのそばにいたいです」

私なんかが彼の妻になるなんておこがましいと、まだどこかで思っている。それでももう制御できないくらい、私は彼がほしかった。

「誰かと比べて紗衣を選んだんじゃない。紗衣がいいんだ」

菖悟さんに抱き寄せられ、私はその腕の中で涙をこらえる。

「はい……」

「紗衣が好きだ。ずっと俺のそばにいろ」

「私も……菖悟さんが好きです。これからもずっと、そばにいたいです……」

私は初めて彼に素直な気持ちを伝えた。

言葉にするのに時間がかかってしまったけれど、もう二度と逃げたりしない。かけがえのないこの気持ちを、これからは大切にしたかった。

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