身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
「紗衣、結婚式を挙げようか」

微笑む菖悟さんに、私は戸惑う。

「結婚式はもう挙げましたよ……?」

「あれは紗衣のためじゃない。今度はふたりきりで、俺と紗衣だけのために」

菖悟さんの一途な眼差しに、私の胸は熱くなった。私はもう一度、結婚式を挙げられるのだ。今度は誰かじゃない、きちんと私として、私はバージンロードを歩ける。

「はい……」

涙目で頷くと菖悟さんは、「近いうちに紗衣の両親の墓参りに行かせてくれ」と囁いた。

私はそれに、胸がいっぱいになる。

こんなにも私の全部を大切にしてくれる人は、この世に彼しかいない。

天国の両親は、きっと私の幸せを喜んでくれる。その日が楽しみだった。

「よし、まずは紗衣のごはんだな」

目をすがめた菖悟さんに、私はとっさに首を傾げる。
「……え?」

「レストランで何も食べていないだろ?」

「そういえば……とてもおなかが空いています」

レストランにいるときは全く空腹を感じていなかったのに、今はぺこぺこだった。菖悟さんと思いが通じ合い、安心したからかもしれない。

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