身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
けれどそのせいか、普通なら慎重に発言するべき内容でも軽率に投げかけてくる。

「おはよう。本当にすごい荷物だね。もしかして、高須賀のマンションに引っ越し? 今井さん、あいつと結婚するの?」

私は心臓が飛び出しそうになった。

あいりちゃんは目の色を変えて私に掴みかかってくる。

「え、どういうことですか今井先輩! 昨日何があったんですか!」

「北瀬マネージャー、ちょっといいでしょうかっ?」

私はあいりちゃんを押さえ込みながら、北瀬マネージャーを見上げた。

「あ、うん?」

北瀬マネージャーはのんびり頷き、「会議室で話す?」と私を事務所の奥に導こうとした。

「待ってください! 北瀬マネージャーだけずるいです!」

食い下がるあいりちゃんを、北瀬マネージャーは笑顔で遮る。

「里谷さん、申し訳ないけど朝礼少し遅れるってみんなに言っといてもらえるかな?」

「ごめんねあいりちゃん、またあとで……」

私たちから蚊帳の外に追いやられ、あいりちゃんは不貞腐れた。それでも「絶対あとで報告してくださいね!」としっかり言い置く。
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