身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
「何をしている?」

ぐるぐる考え込んでいると、背後から声をかけられてビクッとした。

「高須賀さま」

振り返ると、怪訝な表情の高須賀さまと目が合った。スーツ姿で、手にはフルレザーのビジネスバッグを持っている。どうやら彼も今帰宅したようだった。

「カードキーをなくしたのか?」

問われ、私はかぶりを振りながら手にしていたカードを彼に向ける。

「いえ、あります。ですが私なんかが使っていいのかと……」

「いいから渡したんだろ」

高須賀さまは呆れた顔で、私を先導するようにフロントを通り抜けた。

慌ててついて行くと、彼は不意にカードキーを持つ私の手首を掴む。そうして四基あるエレベーターの一番端のセンサーにそれをかざした。

エレベーターの扉が開くと同時に離されたけれど、大きな手が触れた箇所はまるで熱を持ったみたいにドクドクしている。

そんな私に気づかない高須賀さまはかご室に乗り込むと、私から着替えが入ったバッグを取り上げた。

自分で持てます、と私はすぐに申し出たけれど、聞き流されてしまう。
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