身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
体を洗い、熱い湯が張られたバスタブに浸かりながら、私は自分にツッコミを入れる。

私ってけっこう図々しかったんだな。

マンションのフロント前では、カードキーを使うことさえ躊躇していたのに、その数時間後にはこうして呑気にお風呂に入っているのだ。

正直、高須賀さまの手料理にほだされてしまった。

ここに来るまであんなに強引だったから、とんでもない亭主関白を想像していたのに、実際は真逆だった。あれはずるい。反則だ。

お風呂を出ると、私はこのあと取るべき行動に頭を悩ませた。

高須賀さまは自室にいるけれど、私もこのまま自分の部屋に行ってもいいのだろうか。

私は覚悟を決め、明かりが漏れている彼の部屋のドアに向かって声をかけた。

「高須賀さま、お仕事中申し訳ございません。お風呂いただきました」

「ああ、入ってくれ」

中から応答があり、私はドキドキしながらドアを開けた。
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