身代わり花嫁なのに、極上御曹司は求愛の手を緩めない
彼は私なんかよりずっとロマンチストなのかもしれない。

彼は私が好きそうな、フルーティーな甘口ワインをオーダーしてくれた。華やかな薔薇の香りがするそれは、酸味が穏やかで飲みやすく、とてもまろやかな味わいで、私はとても気に入った。

せっかくだから、私はこの場を楽しむことにした。食事もお酒もたくさん飲んで、マンションとは違う夜景を堪能する。

「……ん……」

この三日間、紳士的だった菖悟さんにすっかり警戒心が薄れていた私は、つい酔っぱらってしまう。

頭がふわふわする感覚が心地よくて、気がつくと大きなベッドの上、彼の腕の中だった。

「え……? なんですか……?」

私は圧し掛かる菖悟さんを虚ろな目で見上げた。

菖悟さんは私の両横に手をついて、ゆっくりと顔を近づけてくる。

「『なんですか?』じゃないだろ?」

きれいに整えられた菖悟さんの髪がはらりとこぼれ、色気が滴っていた。

クスクス笑いながらキスされ、私はとっさに顔を横向ける。

「や、やです……」

「無防備な紗衣が悪い」
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