その手をつかんで
彼は私の手を引いて、窓の外に出る。バルコニーに置かれている二人掛けの椅子に、並んで座る。

爽やかな風が心地よい。

本当にここはふたりだけの特別な楽園のようだ。


「良い天気だね。空も海も青くて、すごいな。魚、泳いでるかな?」


蓮斗さんは腰を上げて、下を覗き込む。

私も同じように動き、彼の背中に手を添えた。


「います?」

「うん、ほら、見えるでしょ?」

「わあ! すごい!」


浅瀬だから、大きいのはいないけど、小魚がいた、肉眼で見えるほど、海の透明度は高い。

蓮斗さんは立って、ぐるりと見渡す。離れたところにかろうじて、同じようなヴィラがあるだけで、ここから見えるのはほとんど海。


「シュノーケリングも予約してあるよ。運が良ければ、イルカも見れるらしい」

「ええっ、イルカ? すごい!」


私も彼の横に立った。蓮斗さんが私の肩を抱き、頬にキスする。


「ビックリしてばかりいる明日花、かわいい」

「だって何を見ても、何を聞いても、初めてのことばかりだから、楽しくて」

「うん、俺も楽しい。それに、今日はドレス選びもあるから、楽しみだね」
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