その手をつかんで
蓮斗さんは私の後頭部に手を置き、濃厚なキスをした。朝から何度キスをしているのだろう。


「朝食の時間だけど、ベッドに戻りたくなるね。明日花を食べたい……」

「私を食べてもお腹は膨れないですよ? どんなご飯なのか楽しみなので、早く着替えて行きましょう!」


私は蓮斗さんの背中を両手で押した。彼は笑いながら、顔をこちらに向ける。


「そんなにもお腹空いているの?」

「そうです、ペコペコ!」

「明日花は俺よりもご飯がいいんだね」


いじけたように言い、中に戻っていく蓮斗さんの背中に私は急いで抱きついた。


「ん? どうした?」

「ご飯よりも蓮斗さんがいいに決まってるじゃないですか。でも、えっと……」

「アハハ、ほんとかわいい。やっぱベッドに行く?」


まだ言うの?

私は頬を熱くして、顔を俯かせた。私にも抱き合いたい気持ちはある。でも、ご飯も食べたい。

蓮斗さんは私の頭に手を載せて、「どうする?」と聞いた。

絶対にからかっている……。


「もう、蓮斗さんったら……レストランに行きますよ!」

「うん、了解」
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