その手をつかんで
杉田くんと社員食堂へ向かう。

体型は高校の時と変わっていないようだが、顔立ちが大人びて、あの頃もかっこよかったけど、さらにかっこよくなっている。


「野崎さん、大人っぽくなったよね」

「それを言うなら、杉田くんだって、立派な社会人に見える」

「ハハッ、お互いさまだね。でも、元気そうで良かった」

「私もー」


同級生とは、会えなかった時間が長くても気さくに話ができてしまうから、不思議だ。お互い大人になって変わった部分があるのに、高校生に戻ったように感じる。

杉田くんは、食堂に行くまでに会社のことを説明してくれた。   

蓮斗さんからも聞いていたが、杉田くんから聞くとまた違う。


「そうだ。野崎さんを食堂に案内したあとで、専務室に連れて行くように言われているんだけど、専務と知り合いなの?」

「専務?」

「うん、結城蓮斗専務」

「えっ、専務だったの?」


私が驚くと、杉田くんはキョトンとした。


そういえば、蓮斗さんの役職を聞いていなかった。なんとなく課長か部長かと思っていた。

そんなに偉い人だったとは……。
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