その手をつかんで
だけど、今月のカレンダーにそのマークはない。なぜならば、私の誕生日は三か月前だから。

お腹の大きい瑠奈とイタリアンレストランで食事をした。そのことは鮮明な記憶だ。

もちろん瑠奈も同じはずなのに、おかしい……瑠奈が忘れているとは。

不思議に思いながら、もう一度メッセージを確認した。

『もうすぐ誕生日だよね!今年もお祝いさせてね』

よく見たら、私の名前はどこにも入っていない……誰か違う人に送るのを間違えた?

もしかして間違えてないかと返信。すぐに電話がかかってきた。


『明日花、朝からごめ~ん! 今、大丈夫?』

「うん、長くは話せないけど」

『それね、お兄ちゃんに送ったつもりだったの』

「やっぱり間違いだったのね。わかって、スッキリしたから気にしないで」


蓮斗さんの誕生日がもうすぐという情報はどこかに飛ばした。その情報を頭の隅ても留めてはいけない。

私には関係のない情報だから。


『あ、明日花。あのね……お願いしようかと迷っていたんだけど、この前のことで気を悪くしてるだろうから言えなくて……』
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