オオカミ社長の求愛から逃げられません!
「私さ~、毎日退屈で、何か楽しいことないかなーってずっと思ってたの」
「……」
あれ、やっぱりおかしい。西園寺さんが二人いる様に見える。体も熱があるみたいに火照っている。
「友達と遊んでも見栄の張り合いで疲れるし、お金もたくさんあるから我慢することもないし、頑張らなきゃいけないこともないし」
かろうじて頷くことができる。でも、もうこのまま眠ってしまいそうなくらい瞼が落ちているのがわかる。
「あ、そういえばあの掲示板の件はどうなったの? 犯人は見つかった? 三日月堂はこのまま潰れちゃうのかな?」
クスクスと笑う西園寺さんの顔が目に映らなくなったのと同時に、私はぱたんとその場に倒れた。
「あらあら、案外あっさり眠っちゃったわね」
どうして西園寺さんが掲示板のことを知ってるの——? どうして私を見下ろしながら笑っているの?
問い詰めたいのに、声にはならず。私はそのまま意識を手放した。