オオカミ社長の求愛から逃げられません!

「で、八神さんのお父さんは認めてくれてるの? 結婚」
「それが、まだちゃんとご挨拶できてなくて」
「ふーん」

初対面があれだ。認めてもらえる気がしない。かなりご立腹だったし。それに私には地位も家柄もなにもない。本当に結婚となったら、どうやって説得する気だろう、晴くん。

「八神さんのお父さんは、けっこう手強いかもよ」
「ですよね……」
「うちのお父さんと昔からの知り合いなんだけど、かなりの曲者だって。まぁ財閥の人はみんな頭固いからね」

それを聞いて一気に気が重くなってきた。

晴くんと気持ちが通じ合ったことで満足してしまっていたけど、やっぱり好きだけじゃどうにもならないんじゃ……。

相手は財閥の人間。私は庶民。やはり超えられない壁というものがあると思う。

「ほら、飲んで飲んで」
「あ、はい」

強引に注がれ、気が付けば二杯目。目がトロンとしてきた。心なしか、頭も揺れている。

だけどあれ? お酒には強くないほうだけど、ワイン二杯でこんな風になったことはない気が……。そもそもワインはビールなどと違って、すぐに酔いは回らない。

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